医療と療養で患者様に寄り添う
「面倒見のよい病院」へ
奈良春日病院 院長 塚口勝彦
当院はこれまで、高齢の患者様の療養や介護を中心とした「慢性期医療」に力を入れてまいりました。しかし、患者様ごとにさまざまな疾患や病態があり、状態も刻々と変わっていきます。当院ではいま、医療から療養、あらゆる層、あらゆる病態の患者様に対応できる病院、困っている患者様やそのご家族を助けられる「面倒見のよい病院」を目指しています。
患者様やそのご家族の「いま、このとき、医療を受けたい」という希望に最大限お応えしたい。そのために、急性期病院で治療を受けた患者様を早い段階で受け入れたり、在宅患者様の容態が悪化したときに入院治療を行えるよう、救急を含めた万全の体制を整えています。
同様に、従来取り組んできた「慢性期医療」にも、これまで以上に力を尽くしてまいります。このほど、治療を集中的に行う医療療養型病床を拡大しました。症状の悪化が著しい急性期は過ぎたものの、なかなか安定せず、療養とともに治療が必要な患者様は、これからもっと増えると思われます。そうした患者様の受け皿となるのが医療療養型病床。この病床の拡充に、私たちは積極的に取り組んでいます。患者様の中には、回復して早い時期に自宅に戻られる方もおられますが、特に高齢患者様の場合は、必ずしも帰宅できるケースばかりではなく、長期の入院と療養が必要なことも多々あります。そうした患者様に安心して過ごしていただくための環境づくりは、私たちの大切な使命の一つです。平成30年11月より院内にオープンした介護医療院はこのような患者様に長期に入っていただける施設です。ここでは、吸引、褥瘡処置などの日常的な医学的処置、嚥下、排泄訓練などのリハビリ、そして穏やかな看取り等を行います。
当院には、このように多様な病棟、施設、多様な医療の備えがあります。それはつまり、多様な働き方があると言い換えることができます。救急から療養、終末期まで幅広くカバーする当院には、忙しい職場もあれば、ゆったりした職場もある。だからこそ、自分のライフワークバランスに合わせて働き方を変えることが可能です。救急、介護、リハビリと、さまざまなタイプの医療や福祉を体験でき、総合的なスキルを磨けるのも良さの一つだと思います。
いまは、地域全体で患者様を支える「地域包括ケア」の時代です。地域の皆さまには「奈良春日病院に行けばとにかく安心」と言っていただけるよう、また、当院で働く皆さまには「医療人、福祉人として自分らしく活躍できる」と言っていただけるよう、緑豊かで自然あふれる環境のもと、人の気持ちの寄り添った医療や介護をご提供してまいります。